1-5.時事:プレミアムフライデー、働き方改革実現会議における残業時間の上限規制、とな~経営者寄りで中途半端な施策

"プレミアムフライデー"と銘打って月末金曜と決めうちでやるのは、中身のない掛け声政治、本質的なところがない箱モノ行政に似たイメージがします。
結局、一部の大企業しかやれない、月一くらい早帰りしたって大して変わらん(他の日に残業が増えるとか)、という具合になるような感じがして効果があるとは思えないけど、実際毎週水曜あたりに「ノー残業デー」を設けている会社は以前からよく見るけどほとんど形骸化している、なんて状況が多いのと同じことになるのではと。

労働時間を減らしましょうという目的で政治がやれる直截的な政策のひとつは法定休日を増やすとか残業規制するとか、こうしたイベント的取り組みでしかないのかもしれませんが、それにしてもいまひとつ中途半端な。
ヨーロッパ諸国のように、個人や企業が主体的に仕事を調整して労働者の好きな時期に休めたり、短時間労働を選択できるなどの融通性をもたせるとかのようになれないと意味がないかと。多くのヨーロッパ諸国は、法律で残業上限値も決まっているうえ、好きな時期に2週間くらい休めたりするフレキシブルな労働環境があったりして、それでいて労働生産性はそれほど低くない(日本は低いですね)わけで。


2017(平成29)年2月14日の第7回 働き方改革実現会議」で「時間外労働の上限規制について(事務局案)」が提示されています。
上限は設定するけれど、これまた特例はあり、とくにこの特例の③の上限を80時間とか100時間にしてくれ、という経営者側の要望がある模様。
残業上限値を法律に定めること自体はいいけれど、結局特例等でそれが80時間、100時間も可能になったら、それこそなんじゃらほい、である。

80~100時間残業って、ひと月の勤務状況ってこんな感じです。
例えば9時~18時定時で昼休みを1時間とって1日8時間労働とすると、月に20日~22日稼働日(土日祝日休みとすると)があると160~176時間。
一日12時間、つまり残業4時間を20日~22日やると、残業が80~88時間。月合計で240~264時間。
一日12時間って、休憩をちゃんととったとしても9時始業だと終わるのがだいたい23時頃になるわけで、毎日ほぼ終電に近い(東京近辺だと23時台~24時台に終電多い)わけですね。
残業100時間というと、毎日終電近い23時ごろまでやったうえに、終電関係なく深夜までとか、土日祝日の出勤が加わる、という具合の勤務状況です。
おまけに残業代が全額支払われる会社はごく一部だし。
私もシステム開発に携わっていたなかでこういう勤務状況は随分と経験ありますが、やはり人間的とは言えません。生命体としてのリズムも崩れます。
これでは政府のもくろむ消費アップは望めないでしょう。プレミアムフライデーを設けた程度ではもちろん焼け石に水です。


「2017(平成29)年2月22日第8回 働き方改革実現会議」の議事録をみると、例えば、繁忙期はどうしても・・・、人手不足の中小企業の場合は・・・、建築や自動車業界は・・・、管理職にしわ寄せが・・・、などを考慮した特例による上限の設定を求めるような意見もありますが、こうした意見は全国中小企業団体中央会会長とか日本経済団体連合会会長のもの、主に経営者側の観点なんですな。
つまるは経営努力とかではどうにもならんと言っているようにも思えます。

でも、行政としては法律で制限かけて、企業に工夫や改善を促す、という方向にしないと意味がないのではと。
同時に、もっと本質的には社会構造や労働環境全体を修正していかないといけない話で、議事録でも例えば運送業の例として、「運送業では、需要家の利便性追求の裏側で、生鮮食料品の長距離輸送や即時配達の増大などによる残業があります。トラック協会では、長時間労働の削減に取り組んでいますが、どうしても限界があり、発注者である荷主の協力も必要不可欠であります。建設業も、下請多重構造のもと、長時間労働が恒常化しています。これらについては、業種ごとの対策が必要であり、御支援をお願いいたします。」という指摘もなされていますが、下請多重構造はシステム開発の現場も同様だし、経営者は残業などを従業員の自己管理に任せたがるが管理能力には個人差があるゆえ残業が減らない、やたらと速さを求める宅配も本当に必要かどうかと思うし(ヤマト運輸は選択可能な配達時間の見直しをしている模様)、お盆とか年末年始とかみんなが同じ時期に休む日本ではその時期に特定の業界が繁忙になったりするし、東京一極集中もあるし、etcと、政策的な面、業界構造、供給者・消費者側の意識、社会構造などなどいろんなものすべて考えあわせないと難しい話です。

ちなみに残業時間の上限を定めても、一度は廃案になったものの「残業代ゼロ法案」と言われる成果報酬による「脱時間給制度」と同時に成立させて多くの労働者を結局こちらに持っていくようだとしたら支離滅裂で、やはり安倍政権って経営者寄りなんだろうな(アベノミクスがそうだし)と思われます。